「各務原氏の逆説」 氷川透 (トクマノベルズ)

氷川透初の学園ミステリ。

トリックやロジックはこれが氷川作品?とやや拍子抜けするくらい軽め。とはいうものの、事件を巡っての各人の意図や関係性だとか、”探偵すること”についての位置づけとかでミステリとしての読み所はきちんとおさえてあるかなと。まあまあ面白かったです。
こういうさらっと読める軽本格も悪くない。
脱格系やライトノベルほどのアクの強さはなくて、学園ものとしてはわりあい爽やかな部類。ジャズに対しての思い入れなんかは、氷川シリーズよりもわかりやすく書かれてて、青春ものっぽさが良く出てるんじゃないでしょーか。主人公と各務原氏の暢気な無駄口もわりあい楽しい。
いつもの氷川作品に比べると描写や思考の回りくどさが随分控え目。
表紙の絵は、これは作品に合ってるかどうかは微妙なんだけど、氷川作品にギャル絵がついたーということに意義があるので(笑)、まあ良し。どうせなら挿絵もつけてくだされ。
もう少しキャラ萌え寄りになれば、富士見ミステリー文庫で出ても違和感がなさそう。(誉め言葉ですよ、これ)

あと、霧舎巧東川篤哉に続く学園ミステリという流れで読むと面白いかも。霧舎学園とか探偵部に比べると、随分あっさり味ですが。