「ぐるぐる渦巻きの名探偵２ 逆しまの塔とメイ探偵」 上田志岐 （富士見ミステリー文庫）

巨大な穴の中で、下へ向かって聳え立つ”逆しまの塔”。そこを訪れた加奈子たちを待ち受けていた殺人事件。
真実を語り、偽りを騙る。虚構と現実の境界に佇むカタリ屋は逆しまの塔で… 一体何をカタル？

うーむ、１作目がどんなミステリだったかちっとも思い出せない。
感想を読み返してみると、どうやら不満たらたらであまり面白くなかったらしいのですが、
今回はわりと楽しんで読めました。
面白くなってるのか、１年前よりわたしの懐が深くなったのか、単に２作目で慣れただけなのかは不明。

　えーっと、メインの密室トリックはわりと好きかも。
逆しまの塔の構造も雰囲気があってそそられるものがあるし、その舞台設定ならではのトリックになっていて良いんじゃないかなあ。
ただ、解決を導き出すためのロジックだとか事件の構図が適当すぎるあたり、ミステリとして読むには大いに難ありといったところ。
あくまでミステリの形式を借りたファンタジックなお話という感じですかのう。
それと、この作品、はっきり言って妙です。
普通のライトノベルとも一般向けのミステリとも異なった”どこかしらズレている感覚”がつきまとって離れません。
キャラクタたちの（特に主人公である加奈子の）行動原理も何か変だし、何が正しいのか何がまやかしなのか曖昧模糊としてくるような、
この妙なとらえどころのなさは一体何なんだろう。そのへんを指して”オトギ話”なんて呼んでるのかなあ。