「ひまつぶしの殺人」 赤川次郎 (光文社文庫)

母は泥棒、長兄は殺し屋、次兄は弁護士、妹は詐欺師、末弟は警察官、という早川一家。
帰国した石油王と彼の宝石をめぐって、母は宝石を狙い、長兄は石油王の殺害依頼を受け、妹は石油王への接近を試み、末弟は宝石の警備につく。
そして、ただ一人家族の秘密を知っている次兄は家族を守るために事態をなんとかしようとするが…。赤川次郎初期の傑作の1つ。

早川一家の面々がそれぞれの思惑を胸に動き出し、てんやわんやの大騒動になるという話で、かなり楽しめますた。
それぞれの動きがいろんな事態を引き起こしていって、殺人事件が起きたり、ロマンスがあったり、終盤にはついに宝石が盗まれたりと、面白さてんこもり。
早川兄弟(+ホテル専属の探偵かぶれな女の子)それぞれの視点で話が展開されていくのだけど、
次男の圭介や末弟の正実の視点ではユーモア・ミステリっぽい話になっていて、
長兄(殺し屋)の克巳の視点ではハードボイルド系、妹の美香はラブロマンス系と、いろんな小説風味が味わえるのも楽しいポイントかも。
このエンターティナーぶりは一読の価値があり。映画化とかされてないんかな。