「幽霊には微笑を、生者には花束を」 飛田甲 (ファミ通文庫)

心霊現象をまったく信じていない真也は夜の廃屋で幽霊の少女と出会ってしまう。
殺された場面以外の記憶を失っていた幽霊のために、真也は彼女の調査をはじめ…、というお話。

幽霊キャラを使う作品は他にもたくさんあるが、幽霊がどういう風に存在しているか?
というところまで丁寧に設定している作品は珍しいんじゃないかな。
幽霊の設定そのものも面白いし、そのへんを追及することで主人公の科学的考察を信条とする性格がよく表現されてると思う。
この主人公は結構お気に入りなり。

中盤からは幽霊の謎を追いかける展開でミステリ風味もそれなりにあって、最後はパズル的な落し方もしてある。
推理するための情報が終盤まで伏せられているので、本格ミステリの枠にはちと当てはまらないんだけど、
ライトノベル・ミステリとしてはなかなかの良品ではないかと。
「もえたん 萌える探偵小説」の課題本にしてもいいかもしれない。

わかりやすい萌え記号はあまり使われていないので、電撃系のハードコア萌えに飽いた人は読むとよろしかろう。
わたしは面白く読めました。あと、絵師のゆうろさんもいい仕事してらっしゃいます