「さよならトロイメライ」 壱乗寺かるた (富士見ミステリー文庫)

第3回富士見ヤングミステリー大賞井上雅彦賞>受賞作。

1人漫才をえんえん繰り返しているような主人公のモノローグになじめるかどうかがポイント。
西尾維新舞城王太郎の影響を受けてるんだろうなあという感じで、わたしとしては別に違和感なく読めますた。
設定の部分やキャラクタに関しては別にどうということもなくて、イラストが好みでないぶんキャラ萌えにツイストがかからなくて
「ふーん」で終わってしまったというのが正直なところ。和服とかお嬢さまとかえっちな眼鏡っ娘とか惜しかったなあ。あー、勿体無い。
ヒロインはあまりお気に召しませなんだ。だってさー、そこは泉じゃなくてお嬢様だろ!なあトーマ君や。
あと、長峰先輩と主人公のからみをもっとたくさん作ってやおい萌えな空気を濃厚にした方が事件発生以降の切実感とかラストが盛り上がったんじゃなかろうか。

ミステリとして読むと、わたしがこれまでに読んだ第3回富士ミス受賞作の「平井骸惚」(大賞)や「黒白」(佳作)よりも”本格ミステリ”の形になっていて面白い。
不可能状況、見取り図、容疑者たちの動きを踏まえて推理が組みたてられ、提示される論理と回答はなかなかのもの。
主人公の熱さもなんだか青春ミステリっぽくてよい感じ。…そこで終わってたら評価高かったような気がするんだけど、けど。
あー、もー、しょうがないなあ。