「平井骸惚此中ニ有リ」 田代裕彦 (富士見ミステリー文庫)

第3回富士見ヤングミステリー大賞<大賞>受賞作品。

大正の頃を舞台にした探偵小説であります。
”お調子者な書生さん”という主人公の河上君をはじめとして、探偵小説作家の骸惚先生、
平井家の女性陣も皆とても良い感じで、キャラクタたちのかけ合いも軽快で楽しい。
探偵小説家がメインキャラということで、探偵小説や密室についての論議などもある。
まあ、謎解き要素はちと小粒ではあるんだけど、大正ものな雰囲気作りはうまくいってると思うし、わたしゃ面白く読めましたよ。
ライトノベルではとても珍しい講談調な語り口やキャラクタのちょいと古めかしい台詞回しも味があって良いんじゃないかな。
2年前に『戦う少女と残酷な少年』が大賞で出てきたときはどうしようかと思ったんだけど、これなら大賞でもなるほどなと納得できる出来。