「魔法人形」 マックス・アフォード (国書刊行会)

人形が殺人劇を呼びこんでくるという怪奇趣味を雰囲気作りに使って、クラシカルでストレートな本格ミステリが展開される逸品。
いやー、面白いですよ、これ。
翻訳ものにしてはとても読みやすいし、探偵役のブラックバーンは出ずっぱり(っていうか主人公)で大活躍だし、
古典ならではの大らかな事件展開なんかも味わい深くて、ああ古典(黄金時代本格)を読んだという気持ちにさせてくれる。
ただ、思ってたよりもオカルト風味が薄味だったのはちょっと惜しいかも。人形の謎でひっぱる序盤はすげーワクワクして読んでたんだけど、
途中から人形のこととかどうでもよくなっちゃうのが残念っつーか。
でも、ロジックで唸らせてくれる部分やお茶目なトリックもあったり、散りばめられた伏線が効果的にいかされてたりして、ミステリとしてもじゅーぶん楽しめました。
クラシカルな本格が好きな人ははまれるかもしれません。

あと、わたしはブラックバーンは結構かっこいいキャラだと思ってたんだけど、
他の名探偵キャラのようなエキセントリックな部分があまりないのが地味にみえるらしい。
事件発生後に関係者たち相手に1人で渡り合ってるあたりなんか特にかっこいいのにー。