上月雨音 「SHI-NO 天使と悪魔」 (富士見ミステリー文庫)

小学生の志乃ちゃんと大学生の”僕”を描くシリーズ3作目。
作者は「今回、ミステリしていません」なんてうそぶいているけれど、それは本格の形式をちょっと崩してあるというだけで、
現状の危機と過去の事件、そして連続殺人の真相が1つにまとまっていく話運びは、どこをどう見たって”ミステリ”以外の何物でもないよね。
道を少々踏み外した(狂った)思想と語りもレトリックとしてなかなかに読ませるし、
”僕”が志乃ちゃんに寄せる愛情、志乃ちゃんの”僕”への思慕?がほの暗い物語を照らし出す光になっているのが素晴らしい。
富士ミスならではの青春ミステリの佳作として順調に育ってきた感じ。
富士ミス軍の”ミステリのエース”*1が新作で日和ってる間に雨音たんがとってかわる日も意外に近いやもしれぬ。
「志乃が可愛ければそれでいいんだ」「ミステリいらないからLOVE寄せをっ」「三大ロリ小説」なんて外圧に屈せず今後もこの路線でいってもらいたいものです。
それと、あとがきで作者がちらと触れていた犯人当てのギミック、これ1つ大きなミスがないかね? …作者の責任では無さそうなんだけど。


シリーズ感想:
黒き魂の少女
アリスの子守唄


SHI‐NO―天使と悪魔 (富士見ミステリー文庫)

SHI‐NO―天使と悪魔 (富士見ミステリー文庫)




*1:殺人許可証を持つ男、こと田代某

黄支亮 「ブレイブガール 異世界戦士・茜」 (美少女文庫)

崩壊の危機に瀕した世界を救うために召喚された3人の女子高生。
戦士として旅立った茜たちを待ち受ける恥辱の罠…。
 ヒロイン'Sのデザインが今どき「レイアース」風味。異世界戦士でビキニアーマー
同作者の聖杯シリーズあたりと比べても物凄いチープ感漂っていて、あまりの一昔前センスに噴いた。
狙ってやってるのか、天然なのか…。
ナポレオン時代のファンタジー+ポルノってこういう感じだったのかねえ。
勢いまかせの官能描写はそこそこ迫力あって悪くない。
でも、3人組ヒロインに与えられる恥辱とその反応が全部同じなのはどうかと思った。ちょっとは変化つけろよ。


感想リンク:こぼさん

ブレイブガールズ―異世界戦士・茜 (美少女文庫)

ブレイブガールズ―異世界戦士・茜 (美少女文庫)

他作品感想:「Legend 〜聖杯の女騎士〜」