ヤマグチノボル 「遠く6マイルの彼女」 (富士見ミステリー文庫)

6年前に事故死した兄へのコンプレックスを抱え、国道をバイクで飛ばすことを繰り返していた高校生の魚住研は、兄が死ぬ前に付き合っていた女性・京子と再会し…。
 地方都市を舞台にした”古きよき青春恋愛小説”といった趣の一品。
主人公だけじゃなくヒロインの京子も過去にとらわれており、お互いに思い悩み、迷い傷つきながら、少しずつ前に進んでいく。
語り口はわりあい淡々としていて、こちらの感情をぐいぐい揺さぶってくるようなこともないのだけど、読んでて何だか心地よかった。
研くんのひねたようで実はバカ正直なところ、京子の時折見せる”少女じみた隙”が微笑ましい。
ニライカナイを探して」「さよなら、いもうと。」「空とタマ」あたりと並べて、富士ミス四大青春小説と冠してみたいかも。
ちなみに、ヤマグチ作品を読むのは4冊目なれど、非ポルノを読むのはこれが初めてなのでした。えへ。

遠く6マイルの彼女 (富士見ミステリー文庫)

遠く6マイルの彼女 (富士見ミステリー文庫)