川人忠明 「ダークエルフの口づけ ソードワールド・ノベル」 (富士見ファンタジア文庫)

混沌の王国ファンドリアを舞台にしたダークファンタジー
頭脳明晰で冷酷非情なダークエルフの女性*1ベラが主人公。
周囲のすべてを冷静に見据え、裏切りも殺人も、時には友を手にかけることすらいとわない。
そんな非情なベラではあるが、心情描写を極力抑えることで”謎多きヒロイン”として実に魅力的に描かれている。
読み手にすら窺い知ることの出来ないベラの心の本当のところ。
かつての友に刃を振るうとき、彼女は一体何を思ったか。いやあ、ゾクゾクしちゃうなあ。
純粋にベラを慕う青年アマデオに対してだけはほんのかすかな親愛の情を垣間見せたりもするんだけど…。ふふふふふ。
悪党どもによる虚々実々の駆け引き。非情な物語の先に待ち受けるものは、…何だろうなあ。
数あるソードワールド小説の中でも最高傑作になりえそうな予感。続きにも超期待。
それから、椎名優の手によるソードワールドという点でビジュアル面でも見所満載。
ライトファンタジー路線はちょっとなあ…なんて古参のソードワールド好き、あるいは今まで読んだことない若い子にもオススメ。
ベラ様の恰好良さに皆でしびれようぜ!


*1:魔法で肌を白くして人間社会に潜入している。