「死が二人をわかつまで」 ジョン・ディクスン・カー (ハヤカワ文庫HM)

バザー会場で占い師に扮した男に衝撃的なことを告げられた主人公・ディック。
彼の婚約者であるレスリーがかつて三人の男を毒殺しながら証拠がないために逃れ続けてきた犯罪者だというのだ。
それは事実なのか!? 何かの間違いなのか…。

主人公と婚約者と元・彼女の三角関係やヒロインは黒か白か?という謎で話をひっぱりつつ、
お得意の密室状況をひねり出してミステリをやっちゃうという典型的なカー作品の1つ。
うわーん、作者の筆運びにまんまと乗せられたー。
主人公君と同様、目が全然別のところを向いてしまってて、真相にはまったく近づけずじまい。
でも、これはわからないよなあ。物語開始以前の状況まで推察して真相を読みきるなんてわたしにはとても無理。
フェル博士の解説には納得させられるのだけど…。
今回の密室トリックは”手順”の問題でした。なるほどなるほど。それと、犯人の密室作成動機が興味深かった。ミステリ的にはそこそこの佳作。
ただ、話自体の面白さはそんなでもなかったので、カー作品としては”中の上”くらいかなという評価で。