「アンダカの怪造学 I ネームレス・フェニックス」 日日日 (角川スニーカー文庫)

異世界アンダカ”の生物をこちらの世界に召喚する術である『怪造』。
空井伊依は、怪造生物と人間が仲良く共存できる世界を夢見て、怪造学の道に進もうとしていた…。

『怪造』学というものが存在する世界における、1人の心優しき少女の夢と努力と試練の物語。
狂乱家族日記」とは違い、書くべきことをきちんと書いてあって、シリーズの1作目としても1本の長編としても過不足のない出来。完成度は高い。
うーん、こうして物語を綺麗にまとめる力はあるはずなのに、「狂乱家族日記」は何故あんな粗削りな話になってるんだろう?
 レーベルの編集方針の差なのかなあ。それとも意図して作風に変化をつけようとしたのか。
この2作品、もし作者名隠されて読んだら同じ人が書いたとは全然気付かなかったかも…。

『怪造』と異世界アンダカと怪造生物の概念はわかりやすく描かれていて設定も結構面白い。
怪造生物にはさしてオリジナリティはないのだけど、召喚が”怪造学”として科学・技術体系化されているという世界観は○。
主人公である伊依の真っ直ぐさや怪造生物に向ける視線の優しさが好ましくて、感情移入しやすいのも良きかな。
あと、雪童の桃子ちゃんがかわいい。
後半は怪造生物たちとのバトルなんかもしっかり描写していて、こういうのもちゃんと書けるのねと一安心。良作。

「狂乱家族日記 壱さつめ」 日日日 (ファミ通文庫)

世界の命運を握る一大計画『なごやか家族作戦』により、乱崎凰火は傲岸不遜なネコミミ娘・凶華様と結婚。
さらに、5名(まともな人間2名、動物2名、生体兵器1名)の子供たちと家族になることに…。

うわあ、これは粗削りだ。
”擬似家族もの”というテーマはすごく好みだし、キャラクタや物語の設定もなかなか面白いんだけど、
ちょっと話を書き急いでる感が否めなくて、テレビアニメで第1話をやったあと中盤を全部すっ飛ばして1クールのクライマックスにつなげたかのような構成になってる。
自分を受け入れてくれた人たち、辿りついた居場所、家族のあたたかさ、家族のために、といった感情や台詞がぽんぽん飛び出してくるものの、
その”家族の絆”が生まれてくるきっかけや様子が描かれてないから、どうにも表面的な感動にとどまってしまってる感じ。
私の優しくない先輩」で書いたような”緩い”空気感をどこかで入れておけば、バカ騒ぎの面白さや優歌の話も随分ひきたってくると思うんだけどなあ。続編ではホーム・コメディな色合いを出してくれることに期待したいけど、”狂乱”家族日記だし、どうなるものやら…。

凰火くんが主人公的ポジションにいるキャラクタにしては周囲に気を配ってなさすぎなのが多少気にさわりはするものの、
人外の帝架くんや雹霞(ひょうか)くんがいい味出してて、優歌ちゃんが健気で、銀夏くんがおカマなところと、凶華様がいい意味でも悪い意味でも無茶苦茶なあたりは結構気に入りました。
あと、イラストに関しては帝架くんがカッコイイのが素晴らしい。

「苺ましまろ 4」 ばらスィー (電撃コミックス)

3巻から1年以上たってしまっていたので、50Pくらいまで脳が苺ましまろモードに切り替わらなかったものの、
後半は完全に馴染んで、えらく楽しめました。あー、かわいいなあ、面白いなあ。1〜3巻もそのうち再読しよう。
アニメ版も、ゆるゆるーとみてみてーな感じの作品になるといいですな。