「ブギーポップ・バウンディング ロスト・メビウス」 上遠野浩平 (電撃文庫)

死神への復讐を望む少年・蒼衣。
平穏な暮らしの中で普通の女の子としての生を歩みつつある合成人間・織機綺。
2人が”牙の痕”と呼ばれる領域に近づいたとき、混迷が幕を開ける…。

シリーズ14冊目(「ビートのディシプリン」は除く)。
ブギーポップの中では唯一といってもいい正統派薄幸美少女の織機綺がメインヒロイン。
「vs イマジネーター」後の彼女の安寧と心の変化には、読んでてほっとするものがありますね。
今回また大変なめにあってるけど、その中で織機がよりどころとするものが”正樹や友人たちへの想い”だというあたりにグッときましたよ。
初登場の蒼衣くんもなかなか良いキャラで、織機との対峙の中で変わっていく部分だとか、敵視しているブギーポップとのすれ違いが面白かった。
メビウス”の謎もそこそこの出来。
圧倒的にシリーズ・ワーストの出来だった前作「ジンクス・ショップへようこそ」に比べればだいぶ持ち直してくれたかなと。
これならまだシリーズ見限らなくてもよさそう。
今後への布石もがしがし打ってたし、これから話を大きく動かすつもりなのかしらん。

「少女海賊ユーリ 時のとまった島」 みおちづる (フォア文庫 童心社)

難破していた老人を助けたユーラスティア号。
老人の願いを叶えるため、ユーリたちは嵐の海へと向かう…。

「少女海賊ユーリ」シリーズ2作目。
何度遭難しても、愛する者に逢いたいがため嵐の海に向かい続ける老人。その想いを真摯に受け止めるユーリ。そんな彼女にも逢いたいと願う人がいる…。
そして、まぼろしの嵐とユーラスティア号の戦い、時のとまった島…。
やー、これはまさしく、愛と冒険のファンタジーですね。
決して長くはない話の中に物語の魅力ががっつり詰まっていて、面白い、面白い。
時光石の力があればどんな危機でも切り抜けられそうなのだけど、力を使うために(皆を救うために)はユーリが生命を削らなければならない、
…というあたりが作品の1つのテーマなのかな。
今回は恰好良いだけでなくちょっと弱いところも見せてくるユーリが素敵すぎ。惚れちゃうぞ、このー。
挿絵に関しては、”涙を流すザーナンを後ろから抱きしめるノエル”が超すばらしかったです。


「少女海賊ユーリ」シリーズ感想

少女海賊ユーリ 時のとまった島 (フォア文庫)

少女海賊ユーリ 時のとまった島 (フォア文庫)