「9S(ナインエス) IV」 葉山透 (電撃文庫)

マジシャンの手に落ちた闘真を取り戻すため、峰島由宇と真目麻耶は手を結ぶ。
遺産<天国の門>の争奪戦はいよいよ佳境へと…。

ページ数にして400以上と結構な長さがあるにも関らず、だれる部分が皆無。
ライトノベルでこれだけあるとどこかに無駄な部分がでてきそうなのに、全然そんなところが見当たらない気がするのが凄い。

さて、今回はいよいよ2トップヒロインの由宇と麻耶が手を組む展開になってます。
2人で闘真のことを話してるあたりで、麻耶がちょっと嫉妬にかられたりしてるところがツボ。
基本的にシビアな展開が続く話なだけに、時折出てくるこういう息抜きの場面が凄く効果的。微笑ましくてしょうがない。いやあ、2人ともかわいいなあ。
由宇の世間知らずぶりも相変わらずいい味だしてるざんす。
中盤以降に各勢力が動き始めてからは緊迫感もいやまし、マジシャンの正体もあいまってスリリングに進行。アクション部分はさすがの読み応え。
その乱戦の中で再会する由宇と闘真。うむ。他にたくさんのキャラや勢力が登場しようとも、やはりこの2人の関係こそが作品の中心にあるべきかなあと改めて思ったりして。
それと、<天国の門>の回収方法が実に素晴らしい。まさかあれがこういう形で生かされるとはなあとびっくりですよ。
その発想やトリックは、上手いこと処理できれば本格ミステリのネタに転用できるんじゃないかな。感心、感心。
ラスト、事態が終わって一件落着かと思いきや、続きへの引きをがんがん見せつけてくれる展開に…。やってくれる。