「九つの殺人メルヘン」 鯨統一郎 (光文社カッパノベルス)

全9話が、中年オヤジの懐かし芸能話→事件の概要→メルヘンにあてはめての読み解き→アリバイ崩し(解決)
というパターンで構成されている連作短編集。
第1話を読めばあとは全部同じというところは、この前読んだ「『神田川』見立て殺人」と同じ(→感想
全部がアリバイ崩しで統一されていることや、メルヘンとのこじつけ方など、こちらの方がミステリとしてはまともに見えなくもない。
見えなくもないが、ギャグのはじけっぷりで個人的には「神田川」の方が好きかも…。

メルヘンのモチーフ読み解きに関しては、どこまでが諸説でどこから鯨流新解釈なのかがさっぱりわからないので、わたしには評価できませなんだ。
キャラクタのかけ合いは結構楽しい。マスターの愉快なキャラクタと語り手の的確なツッコミぶりがよいです。
日本酒ネタもわりと興味深い。わたしゃ下戸なんで飲めはしないんですが。

「マリア様がみてる いとしき歳月(前編)」 今野緒雪 (コバルト文庫)

蓉子さんにとっつかまる蔦子さんに萌え。

これまで影の薄かった江利子さん話の筈なのに、やはり印象が薄いまんまだ。
語り手である祐巳との心理的距離の差なのだろうけど。黄色好きな人にはそのへん物足りないのだろうなあ。
ちなみにわたしは(蔦子さんが大のお気に入りであることを除けば)赤ですよ。紅薔薇姉妹ですともっ。

卒業編…というわりには前編はまだまだ明るく楽しいばかり。後編グッとくることができるか否や、どきどきであります。

あと、ラストの祐巳さんがイラスト化されていないのは武士の情けというやつですか?