富士ミス四大青春小説

先日の「遠く6マイルの彼女」感想において富士ミス四大青春小説なる惹句をくっつけてみたらdeltazuluさんが反応してくれたので、改めてその四作品を紹介してみようと思った次第。



ニライカナイをさがして (富士見ミステリー文庫)

ニライカナイをさがして (富士見ミステリー文庫)


葉山透ニライカナイをさがして」
 空港近くのコーヒーショップで出会った女の子は人気アイドル。なりゆきで沖縄へ飛んでしまった二人は、旅の中で何を見つけ、何を想うのか…。ド直球にもほどがある青春ロードムービー風なお話。なんといってもヒロインの梨花が魅力的に描かれているのがポイント高い。



遠く6マイルの彼女 (富士見ミステリー文庫)

遠く6マイルの彼女 (富士見ミステリー文庫)


ヤマグチノボル「遠く6マイルの彼女」
 6年前に事故死した兄に対するコンプレックスに揺れる研。教師になって故郷に戻ってきた京子。地方都市(茨城県日立市)を舞台に、バイク好きの高校生と死んだ兄の元・彼女の再会から始まる物語。作中時間で一年半をかけて進展していく関係。悩みのつきない二人が少しずつ変わっていく様が良い。



さよなら、いもうと。 (富士見ミステリー文庫)

さよなら、いもうと。 (富士見ミステリー文庫)


新井輝「さよなら、いもうと。」
 死んだ妹が不思議な魔法で生き返った。彼女の願いは「お兄ちゃんと結婚したい」…。心配して構ってくる幼なじみや親友。妹との奇妙で切ない関係。母を加えた家族三人の絆。読み手の心を深く静かに揺さぶってくれる傑作。これは断じて”妹萌え”なだけの作品ではありません。



空とタマ―Autumn Sky,Spring Fly (富士見ミステリー文庫)

空とタマ―Autumn Sky,Spring Fly (富士見ミステリー文庫)


鈴木大輔「空とタマ Autumn Sky,Spring Fly」
家出をした少年が避難先に選んだ倉庫。そこにはすでに先客がいて…。倉庫の占有権をかけた攻防と言葉での駆引きを経て、やがて二人は互いの過去と内に抱える想いを知る。ファンタジア文庫の人気シリーズ「二ノ宮くん」とは一味どころか五味も六味も違う作品。こんな引き出しがあるなら、いずれまた富士ミスで書いていただきたいものです。



 主人公たちが抱える悩みや葛藤はそれぞれだし、内容にも温度差はあるのだけれど、こうして並べてみると根底に共通した何かがあるような、そんな気がしてくる不思議。
いずれも一冊できちっとまとまっている非シリーズ作品であります。青春小説好きには特オススメ。
わたしもdeltazuluさんがあげてた「描きかけのラブレター」を読んでみよっと。